
これまで衛星通信は
-
専用の衛星電話
-
船舶通信
-
航空機通信
など、特殊な用途で使われる技術でした。
しかし最近になって普通のスマートフォンと直接通信する衛星の開発が世界中で進んでいます。この分野はDirect to Device(D2D)またはDirect to Cellと呼ばれています。
現在この市場では、いくつかの企業が競争しています。
現在の衛星スマホ通信の主要プレイヤー
この分野の主な企業は次の通りです。
| 企業 | 特徴 |
|---|---|
| SpaceX | スターリンク衛星網 |
| AST SpaceMobile | スマホ直接通信を最初から設計 |
| Globalstar | Appleと提携 |
| Lynk Global | 宇宙の基地局構想 |
| Iridium | 衛星電話の老舗 |
それぞれ戦略がかなり違います。
①スターリンク(SpaceX)
最も大規模な衛星ネットワークを持つのがSpaceXのStarlinkです。
スターリンクはもともと衛星インターネットとして開発されました。
しかし現在はスマートフォン直接通信にも参入しています。
例えばT-Mobileと提携し、衛星を使ったモバイル通信サービスを開始しています。
スターリンクは
-
数千機の衛星
-
世界最大の衛星ネットワーク
という強みがあります。
②AST SpaceMobile
スマホ衛星通信で最も注目されている企業の一つがAST SpaceMobileです。
この会社の特徴は普通のスマートフォンと直接通信する衛星を最初から開発している点です。衛星は巨大なアンテナを持ち4G / 5G通信を宇宙から提供することを目標にしています。
すでに
-
Verizon
-
AT&T
-
Vodafone
など多くの通信会社と提携しています。
③Globalstar
GlobalstarはAppleと提携しています。
例えばiPhone 14以降には衛星緊急SOS機能が搭載されています。
ただし現在の通信は
-
緊急メッセージ
-
低速データ
など限定的な用途です。
④Lynk Global
Lynk Globalは宇宙の基地局(Cell tower in space)というコンセプトの企業です。
スマートフォンの電波をそのまま衛星で受信する仕組みで、
-
SMS
-
音声
-
データ通信
を提供することを目指していて、すでに複数の通信会社と提携しています。
なぜ今、衛星スマホ通信が始まったのか
理由は大きく3つあります。
①低軌道衛星の大量打ち上げ
近年はロケットの低コスト化によって、数千機規模の衛星ネットワークが構築できるようになりました。スターリンクはすでに数千機以上の衛星を運用しています。
②アンテナ技術の進化
スマートフォンと通信するためには
-
フェーズドアレイアンテナ
-
ビームフォーミング
など高度な技術が必要です。これらの技術の進歩によって小型衛星でもモバイル通信が可能になりました。
③通信会社との連携
衛星通信だけでは
-
周波数
-
通信制度
の問題があります。そのため現在は既存の通信会社と提携するモデルが主流です。
衛星スマホ通信の市場規模
この分野は急速に拡大すると予測されています。
衛星ネットワーク市場は2030年代には数百億ドル規模になると予測されています。
また
-
衛星IoT
-
災害通信
-
山岳・海上通信
など多くの用途が期待されています。
今後の通信は「空」と「地上」のハイブリッド
将来の通信ネットワークは
-
光ファイバー
-
携帯基地局
-
低軌道衛星
が組み合わさったハイブリッド通信ネットワークになると考えられています。
つまりスマートフォンは
-
都市 → 携帯基地局
-
山間部 → 衛星通信
と自動的に切り替えるようになる可能性があります。
※本記事は公開情報および各企業の発表をもとに一般的な技術動向をまとめたものです。衛星通信サービスの仕様や提供地域は、各国の電波制度や企業の計画によって変更される可能性があります。またスマートフォンの衛星通信機能は、対応機種や通信事業者によって利用できる機能が異なる場合があります。