
では、auの衛星通信は違うのか?
仕事で Iridium Communications やThuraya の衛星電話を使ったことがある人なら、こう思うはずです。
空が見えないとダメ
窓際ギリギリ
方角はこっち
アンテナを伸ばす
あの“儀式感”。
では、KDDI がSpaceX のStarlink と進めているスマホ向け衛星直接通信は違うのでしょうか。
結論から言うと、
物理法則は変わらない。
でも「体験」はかなり変わる可能性がある。
■ なぜ昔の衛星電話は厳しかったのか
① 衛星が遠い
-
Thuraya → 静止衛星(約36,000km)
-
Iridium → 低軌道(約780km)
特に静止衛星は地平線近くに位置するため、
✔ 方角が重要
✔ ビル影で即遮断
となります。
② 端末側アンテナが小さい
そのため、
✔ アンテナを伸ばす
✔ 空に向ける
必要がありました。
③ 建物減衰が大きい
コンクリート壁は数十dBの減衰を起こします。
つまり、
「空が開けていること」が前提条件でした。
■ auの衛星直接通信は何が違う?
新方式の特徴は3つ。
① 衛星が低い(約500km)
従来より近い。
→ 減衰が小さい
→ 遅延が小さい
② 衛星側が巨大アンテナ
スマホの微弱な電波を拾える。
つまり、専用端末は不要
③ ビームフォーミング
必要エリアへピンポイント照射。
従来型は「自分が衛星を探す」、新方式は「衛星が地上を探す」
ここが体験の違いです。
■ では屋内でも普通に使える?
ここは冷静に見る必要があります。
✔ スマホ出力は地上と同じ
✔ 周波数は地上モバイル帯域
✔ 建物減衰は消えない
つまり、
完全屋内利用が自由になるわけではない可能性が高い。
■ 想定される体感差
| 項目 | 従来衛星電話 | 衛星直接通信 |
|---|---|---|
| 専用端末 | 必要 | 不要 |
| アンテナ展開 | 必須 | 不要 |
| 方角意識 | 必要 | ほぼ不要 |
| 屋内利用 | 困難 | 基本は困難 |
| 主用途 | 業務特化 | 圏外補完 |
■ 本質的な違い
昔は
「衛星通信を使うぞ」と構える通信
今は
圏外なら自動的に宇宙へ切り替わる通信
技術というよりユーザー体験の革命です。
■ まとめ
✔ 空が必要という原則は変わらない
✔ ただし方角意識はほぼ不要になる見込み
✔ 専用端末はいらない
✔ 主目的は圏外削減
・提供機能や通信品質は段階的に拡張される可能性があります
・屋内利用は条件により制限される可能性があります
・制度や周波数調整により仕様変更の可能性があります