― 世界のスマートフォン周波数と日本の事情 ―

- 海外スマホは日本で使えないことがある
- 同じ5Gでもキャリアごとにバンドが違う
- 日本だけ対応状況が特殊に見える
実際、日本の携帯通信の周波数は 世界の主流と少しズレています。
これは偶然ではなく、通信の歴史・電波行政・世界標準との関係によって生まれたものです。
ここでは なぜ日本のスマホバンド事情が特殊に見えるのか を、世界の事例と比較しながら解説します。
日本のバンドが特殊に見える理由
主な理由は次の4つです。
- ガラケー時代の独自進化
- 周波数割り当ての歴史
- 世界標準バンドとのズレ
- 日本の電波行政の特徴
これらが重なり、現在のスマートフォンのバンド構成が出来上がりました。
① ガラケー時代の独自進化
日本の携帯電話はスマートフォン以前の ガラケー時代に独自の進化をしました。
2000年代、日本の携帯電話は世界でもかなり先進的でした。
代表例
- iモード
- おサイフケータイ
- ワンセグ
- カメラ付き携帯
しかし通信方式は世界と違っていました。
| 地域 | 主な通信方式 |
|---|---|
| 日本 | PDC → W-CDMA |
| 欧州 | GSM |
| 米国 | GSM / CDMA |
特に日本の PDC方式 は世界では使われていない独自規格でした。
このため日本の携帯電話は
- 世界と互換性が低い
- 端末が独自進化する
という特徴が生まれました。
② 周波数割り当ての歴史
電波は 国家が管理する資源です。そのため国ごとに周波数の使い方が違います。
日本の主なLTEバンド
| バンド | 周波数 |
|---|---|
| Band1 | 2.1GHz |
| Band3 | 1.8GHz |
| Band8 | 900MHz |
| Band18 / 26 | 800MHz |
| Band19 | 800MHz |
特に特徴的なのがBand19(ドコモの主要バンド)です。
このバンドは世界ではほとんど使われていません。そのため海外スマホではBand19非対応の機種が多いという状況になります。
世界のスマホバンド比較
主要地域のLTEバンドを比較すると次のようになります。
LTE主要バンド比較
| 地域 | 主なLTEバンド |
|---|---|
| ヨーロッパ | B3 / B7 / B20 / B28 |
| アメリカ | B2 / B4 / B5 / B12 / B13 / B66 / B71 |
| 中国 | B3 / B38 / B39 / B40 / B41 |
| インド | B3 / B5 / B40 |
| 日本 | B1 / B3 / B18 / B19 / B28 |
このように日本は800MHz帯の独自バンド(18 / 19)を持っているのが特徴です。
世界のスマホバンド事情
日本の状況を理解するには、海外の例を見ると分かりやすくなります。
アメリカ:世界でも特にバンドが多い国
アメリカは 世界でも特にバンド構成が複雑です。
主な理由
- キャリアごとの歴史が違う
- 周波数オークション制度
- 広い国土
LTEでは
- Band2
- Band4
- Band5
- Band12
- Band13
- Band66
- Band71
など多くのバンドが使われています。
さらに5Gでは
- n41(T-Mobile)
- n77(AT&T / Verizon)
- ミリ波
などキャリアごとに構成が違います。
中国:独自規格の影響が大きい
中国は通信規格そのものが独自路線でした。
3G時代
| キャリア | 方式 |
|---|---|
| China Mobile | TD-SCDMA |
| China Unicom | W-CDMA |
| China Telecom | CDMA2000 |
特に TD-SCDMA は中国独自規格です。
その後4GではTD-LTEが広く使われました。
そのため中国スマホは
- Band38
- Band39
- Band40
- Band41
など TDD系バンドが強いという特徴があります。
ヨーロッパ:世界標準に最も近い地域
ヨーロッパはスマホバンドが比較的シンプルです。
主なLTEバンド
- Band3
- Band7
- Band20
- Band28
5Gでは
- n78
が主流です。多くのスマートフォンはヨーロッパ市場を基準に設計されています。
そのためグローバル版スマホは欧州バンドに強い傾向があります。
インド:急速に拡大した巨大市場
インドは現在 世界最大級のスマートフォン市場です。
主なLTEバンド
- Band3
- Band5
- Band40
5Gでは
- n78
- n41
が中心です。インド市場の特徴は低価格スマホの大量普及です。そのためスマホメーカーは「欧州+インド」で使える構成を採用することが多くなっています。
③ 5Gでも日本独自バンドが存在する
5Gでも同じ状況があります。
世界の主流
| 5Gバンド | 周波数 |
|---|---|
| n77 | 3.7GHz帯 |
| n78 | 3.5GHz帯 |
| n41 | 2.5GHz帯 |
| n28 | 700MHz帯 |
日本独自に近いバンド
| バンド | 特徴 |
|---|---|
| n79 | 4.5GHz帯(主にドコモ) |
海外スマホではn79非対応の機種が多いという状況があります。
世界の5Gバンド比較
| 地域 | 主な5Gバンド |
|---|---|
| ヨーロッパ | n78 |
| アメリカ | n41 / n77 / ミリ波 |
| 中国 | n41 / n78 / n79 |
| インド | n78 / n41 |
| 日本 | n77 / n78 / n79 |
日本は世界標準+独自バンドという構成になっています。
④ 日本の電波行政の特徴
日本は電波管理が比較的厳格です。
特徴
- 技適制度
- 行政による周波数割り当て
- 他用途との共存
電波は、防衛・航空・放送・衛星通信など多くの用途と共有されています。
そのため海外で使われている周波数が日本では使えないケースもあります。
まとめ
日本のスマホバンドが特殊に見える理由は
- ガラケー時代の独自進化
- 周波数割り当ての歴史
- 世界標準バンドとの違い
- 日本の電波行政
などが組み合わさっているためです。
その結果海外スマホは完全対応しないことがあることや、キャリアごとに相性が生まれるという特徴があります。
スマートフォンを選ぶときは対応バンドを確認することが重要です。