― au誕生の裏にある複雑な統合の歴史 ―

「au」というブランドは、全国どこでも同じように見えます。
しかしその裏側には、複数の会社が合流してできた複雑な歴史があります。そしてその中で唯一の例外が、沖縄だけ別会社である「沖縄セルラー」です。
なぜ沖縄だけ違うのか。そこには通信業界だけでなく、地域性や産業構造が深く関わっています。
■ auは「複数企業の統合」で誕生した
現在の KDDI(au)は、もともと1つの会社ではありません。
以下の3つの流れが統合して誕生しました。
● IDO(日本移動通信)
-
トヨタ自動車 などが出資
-
関東・東海エリアを担当
● DDIセルラーグループ
-
京セラ(第二電電)が中心
-
全国を地域ごとの会社で分割運営
● ツーカー(Tu-Ka)
-
日産系の第3勢力
-
シンプル路線で人気だったが後に吸収
2000年
-
IDO
-
DDIセルラー
がブランド統合し「au」が誕生。さらに会社も統合され、現在のKDDI体制となりました。
■ なぜ沖縄だけ別会社なのか
全国のDDIセルラーがKDDIに統合される中、唯一残ったのが沖縄セルラー電話です。
理由① 沖縄のための会社として設立された
1990年、故 稲盛和夫氏(京セラ、第二電電創業者) が「沖縄の、沖縄による、沖縄のための通信会社を作る」と提唱したことが始まりです。
理由② 地元資本による会社
沖縄セルラーには、
-
沖縄電力
-
琉球銀行
-
沖縄銀行
などが出資しています。そのため単なる子会社ではなく“地域企業”としての性格が強いのが特徴です。
理由③ 圧倒的な地域密着
-
地元タレントのCM
-
沖縄限定プラン
-
地域イベントとの連携
などを徹底した結果、県内シェア約50%という高い支持を得ています。
■ 実は契約先が違う
沖縄でauを契約すると、
-
本土 → KDDI
-
沖縄 → 沖縄セルラー
になります。ただしサービス内容はほぼ共通です。
■ auという名前の由来
「au」という名前は単なる略称ではなく、複数の意味を持つ造語です。
● Aが持つ意味
-
Access(アクセス)
-
Always(いつでも)
-
Amenity(快適)
● Uが持つ意味
-
Unique(ユニーク)
-
Universal(普遍的)
-
User(ユーザー)
これらを組み合わせることで、「生活に密着した優しく快適な通信を目指す」という意味が込められています。さらに日本語の会う(出会い)、合う(つながり・調和)という意味も重ねられており、人と人、人とモノがつながる世界観を表現しています。
■ 小ネタ:なぜ車のディーラーでスマホを売っているのか
実はこれも歴史とつながっています。
auの前身の一つであるIDO はトヨタ系の通信会社でした。そのため当時から、
-
自動車ディーラー
-
系列販売網
を使った通信販売の流れが存在していました。現在でも、KDDIとトヨタ自動車の関係は続いており、コネクティッドカーや車載通信などで強く結びついています。
さらにディーラー側にとっても、
-
来店型ビジネス
-
長期顧客との関係
-
サポート重視
という点で、スマートフォン販売と非常に相性が良いという事情があります。なごりではなく今でも合理的だから続いている仕組みです。
■ まとめ
auは、
-
IDO
-
DDIセルラー
-
ツーカー
といった複数の会社が統合して誕生しました。
しかし沖縄だけは、沖縄セルラー電話 として独立を維持しています。その背景には、地域振興の思想、地元企業の出資、強い地域密着があります。名前の由来に込められた思想、自動車業界との関係なども含めて見ると、auは単なる通信ブランドではなく産業と地域が融合して生まれたサービスであることが分かります。