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なぜスマホ仕様で「FDD」と「TDD」を分けて書くのか ― LTE・5G通信方式と主要バンド一覧

スマートフォンのスペックを見ると

  • FDD-LTE

  • TDD-LTE

のように通信方式が分けて書かれていることがあります。

また5GでもFDDバンド、TDDバンドという区別があります。

これは単なる分類ではなくそのスマートフォンが世界の通信方式に対応できるかどうかに関わる重要な情報です。

まずは、なぜスマホ仕様でFDDとTDDが分けて書かれているのかを見ていきましょう。


なぜFDDとTDDを分けて書くのか

理由は主に3つあります。

① モデム(通信チップ)の対応が違う

スマートフォンの通信はSoC内のモデムが処理しています。

代表的なメーカーはQualcommやMediaTekなどです。

モデムによってはFDDバンドには対応TDDバンドには非対応といった違いがあります。

そのため機種仕様ではFDD-LTE、TDD-LTEのように分けて記載されています。

② 国や地域によって通信方式が違う

世界の携帯通信では地域によってFDDとTDDの利用状況が異なります。

FDDが多い地域

  • 日本

  • 欧州

  • 北米

TDDが多い地域

  • 中国

  • インド

  • 一部アジア

そのためTDDに対応していないスマートフォンは中国などで通信できないということもありえます。

③ 通信回路の構造が違う

FDDとTDDではスマートフォン内部の通信回路も異なります。

FDDでは送信と受信を同時に行うためデュプレクサ(duplexer)という回路が必要になります。一方のTDDでは送信と受信を時間で切り替える仕組みのため回路構造が異なります。


FDDとTDDの違い

FDD(Frequency Division Duplex)

送信と受信で別の周波数を使う通信方式です。

〈イメージ〉

 
スマホ → 基地局(上り通信)
周波数A

基地局 → スマホ(下り通信)
周波数B
 

特徴

  • 上りと下りを同時通信できる

  • 通信が安定

  • 広いエリアに向いている

そのため従来の4G LTEはFDDが主流です。


TDD(Time Division Duplex)

送信と受信を同じ周波数で時間を分けて使う方式です。

イメージ

 
時間① 基地局 → スマホ
時間② スマホ → 基地局
 

特徴

  • 周波数効率が高い

  • 下り通信を多くできる

  • 高速通信に向いている


LTEの主要バンド(FDD)

バンド 周波数帯 主な地域
Band1 2100MHz 日本・欧州
Band3 1800MHz 世界中
Band5 850MHz 北米・アジア
Band7 2600MHz 欧州
Band8 900MHz 欧州
Band20 800MHz 欧州
Band28 700MHz 世界各国

これらはFDD方式のLTEバンドです。


LTEの主要バンド(TDD)

バンド 周波数帯 主な地域
Band38 2600MHz 中国・アジア
Band39 1900MHz 中国
Band40 2300MHz インド
Band41 2500MHz 中国・米国

中国スマホがTDDバンドを多く対応しているのはこれらの周波数が使われているためです。


なぜ5GはTDDが多いのか

5GのSub6帯ではTDD方式が主流になっています。

理由は主に3つあります。

① ダウンロード通信が圧倒的に多い

スマートフォン通信は動画視聴、SNS、Web閲覧などほとんどが下り通信(ダウンロード)です。TDDでは下り通信 70%、上り通信 30%のように通信時間の割合を柔軟に調整できます。このため高速通信に適しています。

② Massive MIMOとの相性が良い

5GではMassive MIMOという技術が使われています。

これは多数のアンテナを使い同時に複数ユーザーへ通信する仕組みです。

この技術はTDDのほうが制御しやすいという特徴があります。

③ 高い周波数帯を使いやすい

5Gでは3GHz〜5GHz帯など比較的高い周波数を使用します。

この帯域ではFDD用のペア周波数を確保するのが難しいため単一周波数で運用できる

TDD方式が採用されやすいという事情があります。


5Gの主要バンド

5GのSub6バンドは多くがTDD方式です。

バンド 方式 周波数
n1 FDD 2.1GHz
n3 FDD 1.8GHz
n28 FDD 700MHz
n77 TDD 3.3〜4.2GHz
n78 TDD 3.3〜3.8GHz
n79 TDD 4.4〜5.0GHz

日本の5G Sub6のn77、n78、n79とTDDが中心になって高速通信を支えています


通信バンドは方式ごとに決まっている

携帯通信のバンドは3rd Generation Partnership Projectという国際標準団体によって定義されています。ここでは周波数、バンド番号、通信方式(FDD / TDD)が セットで規格化されていおり同じバンドでFDDとTDDを切り替えることはできません。

 

※n77というバンドを使う場合、世界どこのキャリア、どの機種メーカーでも通信方式はTDD。ただし同じ周波数帯でFDD・TDDが違う場合もあり、その場合は別のバンドとして存在しています。

例:2.6GHz帯

バンド 方式
LTE Band7 FDD
LTE Band38 TDD
LTE Band41 TDD

つまり周波数は近いが別バンドとして定義されています。


まとめ

改めてスマートフォン仕様でFDD / TDDが分けて書かれている理由は次の通りです。

  1. モデムの対応が違う

  2. 国ごとに通信方式が異なる

  3. 通信回路の構造が違う

また5Gでは

  • Massive MIMO

  • ダウンロード中心の通信

  • 高周波数帯の利用

といった理由からTDD方式のバンドが主流になっています。

スマートフォンを選ぶときは対応バンドだけでなくFDD / TDDの違いも重要なチェックポイントになります。


※本記事は個人が技術理解のためにまとめた内容です。
内容の正確性には注意していますが、規格の更新や機器仕様の違いにより実際の動作や数値が異なる場合があります。
最新の仕様や詳細については、各メーカーや公式情報をご確認ください。
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