
スマートフォンのSoCのスペックを見ると3GHz、3.2GHz、3.3GHzなど、かなり高いクロック数が表示されることがあります。
これらを眺めていると「Windows PCのCPUと同じクロックなら、同じくらいの処理速度なの?」という疑問が出てきます。
結論から言うとCPUのクロック数(GHz)が同じでも処理速度は同じになりません。多くの場合はPCのCPUの方が高速です。
その理由を深掘りしていきましょう。
- ■ クロック数とは何か
- ■ 同じGHzでも速度が違う理由
- ■ PC CPUとスマホSoCの設計の違い
- ■ スマホSoCはCPU以外も統合している
- ■ 実際どのくらいのPC性能なのか
- ■ スマホ用CPUがPCに搭載される時代に
- ■ PCとスマホはCPU設計も違う
- ■ まとめ
■ クロック数とは何か
CPUのクロック数とは1秒間に何回動作するかを示す数値です。
例えば3GHzの場合1秒間に30億回のクロックが動いています。
そのため一見すると、PC CPU 3GHz・スマホ SoC 3GHzなら同じ速度で動いているように見えます。
しかし実際には、CPU性能はクロック数だけでは決まりません。
■ 同じGHzでも速度が違う理由
① 1クロックで処理できる量が違う(IPC)
CPUにはIPC(Instructions Per Clock)という性能があります。
これは1回のクロックでどれだけ命令を処理できるかという指標です。
例えば
| CPU | クロック | IPC | 処理量 |
|---|---|---|---|
| スマホSoC | 3GHz | 1 | 3 |
| PC CPU | 3GHz | 4 | 12 |
この場合PC CPUの方が4倍速いことになります。
つまりGHzが同じでもCPU設計によって性能は大きく変わるということです。
■ PC CPUとスマホSoCの設計の違い
PCのCPUは高性能重視、大きなチップ、消費電力が大きいという設計です。
一方、スマートフォンのSoCは省電力重視、小型設計、発熱制限があります。
そのためPCのCPUの方が複雑な処理を同時に実行できる構造になっています。
■ スマホSoCはCPU以外も統合している
スマホSoCはCPUだけではなく
-
GPU
-
AI処理ユニット
-
画像処理(ISP)
-
5Gモデム
などを1つのチップに統合しています。
例えば
Snapdragon 8 Gen 4
には
-
CPU
-
GPU
-
AIエンジン
-
5Gモデム
などがすべて含まれています。
つまりスマホSoCはCPU単体性能よりも総合機能を重視した設計になっています。
■ 実際どのくらいのPC性能なのか
最近のハイエンドスマートフォンはかなり高性能になっています。
例えばApple A17 ProはCPUベンチマークのGeekbenchではシングルコア性能が約2900前後と言われています。
これは2018〜2020年頃のノートPCに搭載されていた
-
Intel Core i5‑8250U
-
Intel Core i7‑8550U
などと同じくらい、またはそれ以上のシングル性能になる場合があります。
つまり現在のハイエンドスマホは約5〜7年前のノートPCに近いCPU性能と言われることがあります。ただし長時間の高負荷処理やマルチコア処理などでは冷却性能や電力供給の違いからPCの方が有利になる場合が多くなります。

■ スマホ用CPUがPCに搭載される時代に
さらに興味深いのは最近ではスマートフォン用SoCがそのままノートPCに搭載される例も登場していることです。
例えばAppleではMacBook NeoというMacBookが登場しました。
このモデルの特徴はMac向けのMシリーズではなくiPhone用チップ「A18 Pro」を搭載していることです。
A18 ProはiPhone向けSoCのARMアーキテクチャで作られた高い省電力性能を特徴とするチップですが、AppleはこのSoCをノートPCにも搭載しました。
価格は約10万円前後でMacBookとしては比較的安価なモデルとされています。
この事例はスマートフォン用SoCがすでにPC用途でも実用的な性能を持っていることを示しています。
■ PCとスマホはCPU設計も違う
もう一つ重要なのがCPUアーキテクチャです。
PCの多くはx86系CPU、例えばIntel Core i7‑13700Kなどです。
一方スマートフォンはARMアーキテクチャを採用しています。
例えば
-
Snapdragon 8 Gen 3
-
Apple A17 Pro
などです。ARMは省電力・高効率を重視した設計になっています。そのため同じクロックでも処理能力は大きく異なります。
■ まとめ
CPUのクロック数(GHz)が同じでも処理速度が同じになるわけではありません。
性能に影響する主な要素
-
IPC(1クロックの処理量)
-
CPU設計
-
キャッシュ容量
-
消費電力
-
CPUアーキテクチャ
などです。
そのため3GHzのスマホSoCと3GHzのPC CPUではPC CPUの方が高速な場合が多いのが一般的です。
ただし最近のハイエンドスマートフォンでは5〜7年前のノートPCに近い性能に達しており、スマートフォンの処理能力は年々大きく向上しています。
さらに最近ではスマートフォン向けCPUがノートPCに搭載される例も登場しており、将来的にはスマートフォンとPCのCPUの境界がさらに曖昧になる可能性もあります。
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