PHSとは何だったのか? ― “ピッチ”が実現したもう一つのモバイル通信 ―

PHS

PHS(Personal Handy-phone System)は、1995年に日本で誕生した移動通信方式です。

家庭用コードレス電話を発展させた仕組みで、

  • 端末が安い
  • 通話がクリア
  • 料金が安い

といった特徴で、「ピッチ」と呼ばれ広く普及しました。

しかしPHSの本当の価値は単なる通信方式ではなく「通信の使い方そのものを変えた点」にあります。

目次

PHSの基本構造:小さな基地局で支える通信

PHSの特徴はマイクロセル方式です。

仕組み

  • 半径数百mの小エリア
  • 低出力基地局を大量配置

メリット

  • 通話品質が高い
  • 都市部に強い
  • 設備コストが低い

デメリット

  • 移動に弱い
  • エリアが狭い

PHSは「都市特化型の通信」でした。

転換点① AirH”は何を変えたのか

2001年に登場したAirH”はPHSの評価を大きく変えました。

技術的には新しかったのか?

結論:完全な新技術ではない

中身はこう

  • PHS(32kbps)をベース
  • 複数回線束ね(64kbps / 128kbps)
  • パケット化・常時接続

つまり既存技術の組み合わせ

では何が革新だったのか

① 定額通信

  • 時間課金 → 解放
  • パケット課金 → 回避

② 常時接続

  • 切断しない
  • つなぎっぱなし

③ PCで使う前提

  • ノートPC通信
  • 外出先インターネット

→「通信は使うたびに課金されるもの」という常識を壊した

転換点② ウィルコムが変えた“通話の価値”

DDIポケット → ウィルコムへ進化します。

ここで登場したのがウィルコム定額プラン

特徴

  • PHS同士通話無料
  • 長時間通話前提

実際の変化

  • 通話時間が大幅増加
  • 若年層で普及

「通話は短く済ませるもの」から「つながり続けるもの」へ変化

iモード・ブロードバンドとの“三つ巴”

2000年前後、ネットは3つに分かれていました。

  • 携帯 → iモード
  • 外でPC → AirH”
  • 家 → ブロードバンド

役割分担

用途通信
手軽な情報iモード
外でPCPHS
自宅高速ブロードバンド

競争ではなく“棲み分け”だった

使用周波数と現在

PHSは1.9GHz帯を使用していました。

現在この帯域はsXGPとして再利用されています。

sXGPとは

  • 病院
  • 工場
  • 企業

向けの専用LTEネットワークで活用されています。

PHSの思想(小セル・高密度)は今も生きています。

なぜ消えたのか

理由はシンプルです。

  • 3G・4Gの高速化
  • スマートフォン普及
  • 広域カバーの重要性

「速く・広く・1台で全部」に負けた

世界的にはどうだったのか

PHSは日本、中国、台湾で展開されましたが・・・世界標準にはならなりませんでした。

理由としては

  • GSMなどの広域通信が主流
  • モバイルの方向性が違った

現在の位置づけ

  • 公衆PHS → 2023年終了
  • 構内PHS → 一部残存

現在は

  • スマホ内線
  • クラウドPBX
  • sXGP

へ移行中です。

まとめ

PHSは

  • 小セル通信
  • 高音質通話
  • 独自のデータ文化

を持つ通信でした。

そしてAirH”は通信の“料金概念”を変えた

ウィルコムは通話の“使い方”を変えた

「PHSは技術革新ではなく、“使い方の革命”だった」

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