スマートフォンの価格は数万円から20万円前後が一般的ですが、その常識を大きく超える世界が存在します。数百万円、場合によっては数億円に達するモデルもあり、それらは「ラグジュアリースマホ」と呼ばれています。
こうした製品は単なる高額スマホではなく、素材・体験・所有価値といった、まったく別の軸で成立しています。中でも象徴的なのが、VERTU と Caviar という2つのブランドです。
この2社は同じ“高級スマホ”でありながら、アプローチがまったく異なります。
■ Caviar
― 既存スマホを“資産・芸術作品”に変えるブランド ―

出典:Caviar公式サイト https://caviar.global/
Caviarは2011年にロシアで設立され、現在はドバイなどを拠点に展開するラグジュアリーブランドです。iPhoneやGalaxyといった既存のスマートフォンをベースに、金や宝石、希少素材を用いて外装を再構築するスタイルを取っています。
最大の特徴は「中身ではなく外装に価値を載せる」という点で、性能はそのままに、見た目とコンセプトだけでまったく別の製品へと変わります。
■ Caviarの特徴
- ベースは既存スマホ(iPhone / Galaxyなど)
- 24金・ダイヤモンド・隕石などを使用
- 完全限定生産(数十〜数百台)
- シリアルナンバー付き
こうした要素により、単なるスマホではなくコレクション性の高い製品として扱われます。
■ 売れ方と市場
Caviarのモデルは富裕層やコレクターを中心に販売され、
- 中東・欧州圏で特に人気
- 限定モデルは短期間で完売するケースあり
- 数百万円〜数千万円クラスが主流
という特徴があります。
つまりCaviarは「使うためのスマホ」ではなく「所有するためのスマホ」という立ち位置にあります。
■ VERTU
― スマホを“高級時計”のように作るブランド ―

出典:VERTU公式サイト https://vertu.com/
VERTUは1998年に Nokia のプロジェクトとして誕生しました。コンセプトは「携帯電話を高級時計のように作る」というもので、最初からラグジュアリー市場を狙った設計になっています。
Caviarと違い、VERTUは既存スマホの改造ではなく、最初から高級品として設計された独立した製品です。
■ VERTUの特徴
- 専用設計のスマートフォン
- サファイアガラス・チタンなどの高級素材
- 職人による手作業組み立て
- コンシェルジュサービス付き
特に重要なのがコンシェルジュサービスで、専用ボタンから24時間365日対応のサポートに接続でき、レストラン予約や旅行手配などを代行してくれます。
■ ビジネスモデルの本質
- ハード(スマホ本体)
- サービス(人によるサポート)
この2つを組み合わせることで、「スマホを持つ=サービスを持つ」という構造になっています。
■ 現在の立ち位置
VERTUは一度経営破綻を経験した後、再建され、
- セキュリティ重視
- プライバシー志向
- Web3との融合
といった方向へ進化しています。
単なる高級スマホではなく、“情報と体験に価値を置く端末”へと変化しています。
■ 電波への影響(素材による違い)
ラグジュアリースマホで気になるのが、金や宝石が通信に与える影響です。
結論から言うと、素材ごとに影響は大きく異なります。
■ 金属素材(ゴールド・チタン)
- 電波を反射・遮断する性質
- 特に5Gなど高周波で影響が出やすい
そのため、全面を金属で覆うと通信性能は低下します。
実際の製品では
- アンテナ部分に樹脂を使用
- 電波の逃げ道を確保
- 装飾位置を調整
といった設計で対応されています。
■ 宝石(ダイヤモンドなど)
- 電気を通さない(絶縁体)
- 電波を大きく遮断しない
このため、宝石そのものが通信に与える影響はほぼ無視できるレベルです。
■ 例外
ただし以下の場合は影響が出る可能性があります。
- 宝石を固定する金属台座
- 厚みのある装飾構造
- ミリ波使用時
特にミリ波は障害物に弱いため、装飾の影響を受けやすくなります。
【関連記事】
・スマホの次の進化は? 折りたたみ・AI・衛星通信で変わる次世代
■ 実用上のまとめ
- 通常モデル → 問題なし
- 極端な装飾モデル → わずかに不利な可能性あり
■ 結論
ラグジュアリースマホは、単なる高額製品ではなく
- Caviarのように“外装価値”を極限まで高める方向
- VERTUのように“体験価値”を提供する方向
という異なる進化を遂げています。
共通しているのは、性能ではなく「所有する意味」を重視している点です。