スマホの「技適」はどうやって取る? ― メーカーが払うコストと認証の流れ ―

スマートフォンの設定画面などに表示される「技適マーク」これは日本の電波法に適合していることを示すものですが、実はこのマークを取得するにはメーカー側にかなりの手間とコストがかかっています。

では、スマホメーカーはどのような手順で技適を取得しているのでしょうか。

今回は
・技適認証の流れ
・どんな試験をするのか
・メーカーのコスト
を整理してみます。

目次

技適の正式名称

技適は略称で、正式には「技術基準適合証明」と呼ばれる制度です。

制度を管理しているのは総務省です。

実際の試験や審査は総務省が登録した登録証明機関が行います。

有名な機関としては

・テュフ ラインランド ジャパン
・UL Japan
・Telec

などがあります。

スマホメーカーはここに機器を提出し電波試験を受けることで技適を取得します。

技適取得までの流れ

スマホの場合、認証の流れは大まかに次のようになります。

① 試験用端末を用意

メーカーは量産前の試験機(サンプル機)を用意します。

この段階で

・アンテナ設計
・送信出力
・対応周波数

などはほぼ確定しています。

もし試験で問題が出れば設計をやり直す必要があります。

② 電波試験

登録証明機関で電波特性の試験を行います。

主な試験内容

・送信出力の測定
・周波数の精度
・スプリアス(不要電波)
・占有帯域幅
・変調方式

要するに「変な電波を出していないか」を徹底的にチェックします。

スマホは

・5G
・4G
・Wi-Fi
・Bluetooth
・NFC

など複数の無線を持つため試験項目は非常に多くなります。

③ 書類審査

試験だけではなく、
メーカーは大量の技術書類を提出します。

主な提出資料

・回路図
・ブロック図
・アンテナ仕様
・送信出力データ
・ソフトウェア仕様

などです。

これらが日本の電波法の基準に合っているか審査されます。

④ 技適番号の発行

審査を通過すると技適番号が発行されます。

例えば

のような番号です。

この番号を

・スマホ内部表示
・本体ラベル

などに表示することで日本で合法的に販売できるようになります。

技適取得にかかるコスト

では、メーカーはどれくらいの費用を払っているのでしょうか。

実は機器の種類によってかなり差があります。

一般的な目安

機器費用
Bluetooth機器数十万円
Wi-Fi機器50〜150万円
スマートフォン100〜500万円以上

スマホの場合は

・複数の無線方式
・多数の周波数
・キャリア仕様

があるため、試験コストが非常に高くなります。

コストが増える理由

特にスマホでコストが増える理由は対応バンドの多さです。

例えば5Gだけでも

・n77
・n78
・n79

などがあります。

さらに

・4G LTE
・Wi-Fi 6
・Bluetooth

なども試験対象です。

つまりスマホは1台で数十種類の無線機器の集合体とも言えます。

技適は「モデルごと」に必要

重要なのはここです。

技適は機種ごとに取得する必要があります。

つまり、同じ中国メーカーXiaomi社でも

  • POCO X8 ProMax
  • POCO X8 Pro
  • POCO F8 Pro

のようなラインナップごとにそれぞれ別の認証となっています

さらに

・アンテナ設計変更
・周波数追加
・筐体変更

などがあると再認証が必要になることもあります。

なぜ海外スマホは技適を取らないのか

海外メーカーが日本向けモデルを出さない理由の一つがこの認証コストです。

日本市場は世界のスマホ市場の中では約3〜4%程度と言われています。

つまりメーカーからすると「日本専用モデルを作るほどの市場ではない」という判断になる場合も多いのです。

その結果

  • 技適なし海外スマホ
  • 日本未発売モデル

が存在するわけです。

まとめ

スマートフォンの技適取得には

  1. 試験機の準備
  2. 電波試験
  3. 技術書類審査
  4. 技適番号発行

という手順が必要です。

さらに費用はスマホ1機種で数百万円規模になることもあります。

そのため技適は単なる「マーク」ではなくメーカーが日本市場向けに正式対応した証とも言える制度なのです。

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